はじめに
こんにちは!
シタテル株式会社CTOの和泉です。
今年の4月にそれまで努めていた大学を離れてシタテルに正式にジョインしました。半年近くが過ぎ、いくつかのプロダクトリリースを行う中でお客様とお会いする機会も多くあったのですが、私達が内製でシステムを開発していることや、それを使ってどのように業務を行っているかというのは知られてない事に気が付きました。
ということで、4回の連載で「シタテルのシステム」についてご紹介します!
シタテルが開発しているシステムについて、コンセプトや構成、どのように使われているのかをお伝えします。ベールに包まれたシタテルの内側に興味を持っていただけたら嬉しいです。(そして衣服生産のご相談をいただけたら、、、← 欲)
シタテルとは
シタテルはオンラインで衣服の生産を行うためのプラットフォームサービスです。衣服を作りたいというユーザーの皆さんに対して様々なお手伝いをさせていただいています。また、そのために必要な縫製工場や生地会社、2次加工工場、パタンナー、デザイナーなど様々なサプライヤーと連携しています。
こう言うとシンプルなマッチングサービス(出会いの場を提供してあとはお任せする)のように捉えられることも多いのですが違います!
シタテル社内には上記サプライヤーとユーザーの間をつなぐコンシェルジュがいて、アパレルのプロの方が煩雑だと感じる部分ををお手伝いしたり、はじめて衣服生産に関わる方でも衣服生産の複雑な部分で挫折しないようにサポートしています。なので、マネージド(管理された)な衣服生産プラットフォームと言えるかもしれません。
これはシタテルウェブページのトップ画面です。この画面を見ればもう「ここから登録してログインして、オンラインでシタテルとやりとりして衣服を作るんだ」という流れがばっちり想像出来ると思います。
いや、全然わからないですね。すみません。でも、この連載を読み終わる頃にはバッチリわかるはずですので、、、がんばります。
第1回目の本記事では、ログイン後の画面やそのさらに裏側で実際にどのようなシステムが動いているのか。シタテルの「オンラインで衣服生産」とはどこまでを本当にオンラインで行っているのか。その全体像をざっくりとご紹介します。第2回ではシタテル内部でコンシェルジュが扱うSCS(sitateru control system)、第3回ではユーザーがシタテルとのやり取りに使うマイアトリエを紹介します。最後の第4回では連携工場が使っているマイオペレーターについて紹介します。
シタテルで衣服生産する流れ
シタテルで衣服を生産する場面では、大きく分けて3人のキャラクターが登場します。
- これから衣服を作りたいと思っているユーザー
- ユーザーの要望をヒアリングして生産を管理するシタテルのコンシェルジュ
- 実際の衣服製作に関わるサプライヤー(生地や資材を提供する会社も含みます)
ユーザーは、シタテルのコンシェルジュと、作りたい衣服についてやりとりを行います。具体的なイメージが固まると、コンシェルジュがサプライヤーと連携して生産を進めます。
基本的にユーザーとサプライヤーが直接コンタクトとることはなく、コンシェルジュが間に入って両者をサポートします。
シタテルではこの3人のキャラクターにそれぞれ専用のシステムを用意しています。
- ユーザー向けシステム「マイアトリエ」
- コンシェルジュ向けシステム「SCS(sitateru control system)」
- サプライヤー向けシステム「マイオペレーター」
この3システムを使って、ユーザーとの相談からサプライヤーへの発注・生産までをオンラインで行っています。それぞれのシステムについて第2回目から個別に紹介しますが、ここでもざっくりと説明します。
ユーザー向けシステム「マイアトリエ」
マイアトリエはユーザーが作りたいアイテムについてコンシェルジュと相談するためのシステムです。コンシェルジュとメッセージのやりとりを行いながら、製作状況の確認も行うことが出来ます。アパレルのプロであるブランドから、初めて衣服生産をする方まで全てのユーザーが利用します。
コンシェルジュ向けシステム「SCS(sitateru control system)」
SCSはコンシェルジュが行う製作進行の全てをサポートしています。ユーザーとのメッセージやファイルによるやり取り、その中でで決まった事項を社内、社外と共有するために整理して入力するための機能が備わっています。サプライヤーへの発注依頼もこのシステムの情報を用いて行います。
サプライヤー向けシステム「マイオペレータ」
マイオペレーターは主に縫製工場が使う生産管理システムです。衣服生産に必要な指示書やスケジュールについて一元管理し、発注から納品までサポートします。データはSCSと同期しています。今年の6月から400以上ある提携工場に順次導入し、7割程度の工場に使っていただいています。エクセルなどで管理をされていた工場も多くある中、使いやすく、他社の案件もこれで管理したいなどの声をいただいています。
シタテルのシステム設計思想
上に紹介した3システムは、それぞれが別々に開発されていますが、SCSを中心としてAPIで接続されています。入社してからシステムの設計思想を言語化していく中で私達が作るシステムは他のアパレルITベンダーと何が違うべきであるかを考えました。
生産の管理につかうシステムと言うと、たくさんの複雑な入力項目があって、コンピューターにあれこれ急かされて、というものを想像するシステム開発関係者の方も多いのではないでしょうか?下手をするとめちゃくちゃ横に長いエクセルシートのさらに使い勝手が悪くなったようなシステムになる場合も、、、(大学時代に使っていたものがまさしくそうでした)
シタテルでは「コミュニケーションを促進するためのデータ共有」「入力よりも出力」を重視してシステムの設計、開発を行っています。
世の中にはシステムがなくても電話と帳簿でビジネスができている場面は多くあります。コミュニケーションをとることがビジネスにおいて最重要であり、データをオンラインでやり取りすることは副次的であると、私は考えています。(コミュニケーションが最も大事で普遍的だからこそ、SlackやLINEのようなツールがビジネスの場で重宝されているのだと思います)
そのため、シタテルが開発するシステムでは、メッセージでのやりとりを重要視しています。コンシェルジュは基本的に、メッセージを用いてユーザーや工場とやりとりを行います。生産工程をパターンやテンプレートに当てはめて最適化するのでは無く、それぞれの案件に合わせてコミュニケーションによって解決する。そのコミュニケーションで伝えづらいものをデータという形でシステムが出力して共有する。それに最小限必要な入力項目を作成する。この順序でシステムの設計、開発を進めています。
シタテルは多くのユーザーやサプライヤーをつなぐビジネスを行っています。このようなビジネス形態はアパレルの業界では珍しいようです。そのため、1つの会社のオペレーションを極限まで効率化するためのシステムではなく、多くのプレイヤーが一緒に働きながらビジネスを進めていくシステムが必要であり、それを自らの手で作り上げています。
まとめ
シタテルがユーザーとの相談依頼からサプライヤーへの生産発注まで独自のオンラインシステムで行なっていることを紹介させていただきました。嘘偽りのない「オンラインでの衣服生産」だと思っていただけましたか?
次回からはもっと具体的に、マイアトリエ、SCS、マイオペレータを、それぞれのシステムごとに紹介します。
お楽しみに!